大河内 敦の裏blog

広告会社に勤める一級建築士のPC自作日記

真空管アンプ製作-キットを注文。

とは言うものの、昨年末、ホントに自作キットにトライするのかちょっと迷っていた。

横道にそれるが何と言っても、わたしは戦艦大和のプラモデルを完成させるのに7年かかった人間なのだ。(→ ”大河内敦の個人ホームページ scale model YAMATO 1/350” https://www.likeamiracle.me/scale-model-)7年間ずっと作っていたわけではなくて、あまりの細かさに途中でウンザリして、寝かしていた期間が5年くらいあった。学生時代にイヤと言うほど建築模型を作った経験があったのでプラモデルくらい、という自負もあったのだが、どうしてどうしてプラモデルと言えども、小学校の時に作っていたものとはレベルが全然違う。特にエッチングパーツと言われる真鍮製の繊細なオプションパーツの扱は初体験で、予想していた以上の根気が求められた。 ~ 目に「見てくれ勝負の模型」で、これである。 目に見えない「電気の流れ」について、もし、作って音が出なかったりしたらその原因究明は自分に出来るのか???

とは言うものの、このblogを書いている自作PCもいくつかのトラブルを乗り越え乗り越え、解決しながら現在順調に動いているわけで、意外とやれるかも。やらないと電気や回路図のことが解らないまま死んでいくかも。ここはいっちょトライするか、と言う気持ちに自分を奮い立たせた。

12月、結構忙しかったのでお正月休みを少し長く取得することにして(昨今の「働き方改革」で、休日出勤したら会社から代休の取得が奨励される。)その間に自作しようと、件のオーディオショップにキット手配の相談をした。

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背の高いニコニコした店員さんは「あ~、お世話になります。あのあと、例のB&W805を売って欲しいという連絡がいくつかありましたよ。先に買われて良かったですね。」とのこと。(B&W805とは、わたしにとって曰わく付きのスピーカーで、状態のいい中古をこのお店で偶然発見したのが、そもそものお付き合いの始まりなのだ。→ MARANTZとB&Wのセットを購入を決断。 - 大河内 敦の裏blog ) で、TRIODEのキット手配の相談をしたところ、メーカーも在庫切れで納品が最悪2月になるとのこと。 ~ アンプ製作に取り組むお正月休みの楽しいイメージがガラガラと崩れる。完成品なら在庫があるとのことだったが、ここで完成品を注文するのもなんか拙速で、このハイテク時代にあえてアナログな真空管アンプ自作しようとしている人間がそんなことをするのはスタンスが間違ってる様に思え、二月まで待ちます、と、言って注文した。だいたい、ハンダづけもちゃんと出来ないのだ。回路図だって初歩的なもの以上はまだ読めない。キットが届くまでは、勉強と練習の期間に充てることにしよう。

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今年最初に取り組みたいことは。

みなさま、明けましておめでとうございます。
本年も、この「広告代理店に勤める一級建築士のPC自作日記 大河内敦の裏blog」をよろしくお願いいたします。

さて、今年まず取り組みたいことは、現在のPCオーディオシステムを生かすルームチューニング、そして実は、「真空管アンプ」です。それも組み立てキットで自作してみようと。
自作PCというテーマから少し離れますが、昨今、真空管アンプがブームな様で、一方その仕様も現在のオーディオ環境に合わせハイレゾ対応のものが当たり前にあるようになってきました。真空管アンプと言えども、PCオーディオのシステムとの親和性が高まってきているわけです。
名古屋のオーディオショップ再訪以来名古屋のオーディオチューンナップショップ再訪 その1 - 大河内 敦の裏blog 名古屋のオーディオチューンナップショップ再訪 その2 - 大河内 敦の裏blog )この半年、クロックチューニングを前提にした、CDや音源データに記録された音を「正確に」「出来るだけ余すことなく忠実に」再生することに注力してきましたが、今回はその真逆、真空管の性能やクセによって音がどう解釈され再生されるのかを実験してみたいと考えました。

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幸い今では、レベルが高く、かつ、ハンダづけさえ出来れば比較的簡単に自作できるキットが販売されています。理系ながら、昔から電気・電子・電波という目に見えないものが苦手だった私が再度勉強しなおすにもいい機会かな、と思い、部屋の音環境を整えながら、それと平行して、回路図を見ながら、解らないことは参考書を読みながら、真空管アンプ製作にいそしみたいと思います。

次回からはしばらく、ルームチューニング(先ずは部屋の模様替え。)と真空管アンプの製作プロセスを平行してこのblogを展開していきます。

新しいキーボードとトラックボール。

新しいキーボードとトラックボールが届いた。
Logicoolの「ワイヤレスキーボード CRAFT」と、同じく「ワイヤレストラックボール MX WRGO」。

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開梱した第一印象は、どちらもズッシリと重い。素材感も、デザインも、キーボードタッチの感触もパコパコしてなくて高級感がある。

キーボードのファンクションキーの設定が少し違うので、今までの様に使うには一手間必要なのと、トラックボールの操作に慣れるのには少し時間がかかりそうだが、愛着を持って、長く付き合えそうだ。いいのが見つかった。

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キーボードが壊れる。

キーボードをうっかりデスクから床に落としてしまった。ワイヤレスなので、落ちるときはコードが無いぶんハデに落下した。で、どうも電源スイッチがダメになったらしい。

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以前に一度、このスイッチに圧力を掛けて陥没させ、ダメにしてしまったことがあった。その時は分解してケースの内側から陥没したスイッチを押しだすと、問題なく使用できる様になったのだが、二度目の今回はさすがに同じようにしてもウンともスンとも言わない。ちょっとチャチ目の製品だったが、デザイン的には気に入っていたので残念である。
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likeamiracle.hatenablog.com

せっかくだから今度は少し頑丈めなのを、と、同じLogicool製のを見ていたら、結構イメージ通りのが見つかる。

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なんか頑丈そうなんだけど、ゲーム用ヘビーデューティ仕様というのではなく、むしろクリエイター向けのデザインに見える。ジャストフィットしたトラックボール型マウスも興味をそそる。

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だいたい、壊れたのはキーボードでマウスは壊れていない。ただ、セットものなのでキーボードが届いても同じUSBで動いてくれるか解らない。でも、新たにセットのマウスを購入するのももったいない。と、こそにトラックボール登場である。でかいがたいに手のひら全体を載せて使う。角度も調整出来て手が疲れないようだ。

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 ~ だいたい私は長時間マウスを触っていると、特に右手中指が疲労で浮かしてられなくなって、要らぬところで右クリックを頻発するようになる。 この機械ならそういった状況にならないで済むかもしれない。

USBに差し込むBlueToothジャックととも注文した。

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スピーカーの置き方(その3)         二度目のオーケストラの生音を聴いて。 

別に昔からクラシックを聴く趣味があったわけでは無いのだが、オーディオのチューンナップを始めてから、オーケストラの生音を聴くことに興味がわき、今絶好調の指揮者 佐渡裕さん指揮のケルン放送交響楽団による「運命」「未完成」を聴きに行った。場所は、音に定評がある中之島フェスティバルホールである。

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クラシックのことは人に話せるほど知識や経験があるわけでは無いのだが、初めて見る佐渡さんのは、大きな身体で、キビキビ、さっそうとしており、彼が指揮する交響楽団の演奏もエネルギッシュな印象だった。実際、彼の指揮は演奏時間が短くなる傾向にある、と、ロビーでお客さんがしていた。ちなみに、今回のコンサートで、「運命」の出だしは休符であることを初めて知った。 ~ 佐渡さんが大きく腕を振り下ろした瞬間が無音だったから。グイグイ迫ってくるエネルギッシュな演奏、弦楽器や金管楽器の大音響に隠れているが意外と重要な役割を与えられているクラリネット、第三楽章と第四楽章が続きもの・・・などなど、聴き慣れているはずの楽曲ではあるが、新たな気づきが多々あった。

で、楽曲ではなく、生音の方の話。

前回、大阪フィルで初めてフルオーケストラの生音を聴いたときは、その響きに圧倒され、またその一方で自分の中で整理が付かない印象もあり、それに気を取られてあまり感じなかったのだが、今回気がついたことがあった。それは、「オーケストラの音は意外と小さい」と言うことだ。 ~ これは考えてみたら当然で、大編成のオーケストラであろうと、音は距離の2乗で減衰する。私は二回最前列の席であったが、ステージセンターからは優に30m以上の距離があるわけで、1mの距離で聴いたのと比べると、少なくとも直接音は1/900以下に減衰している。そこに、反射音やホールの共鳴で、実際には更に複雑な音の届き方をしている。音源からの距離は壁に当たり反射する分、さらに遠くなる、その一方、周辺に壁があるから、音エネルギーは拡散せずに反射する分も上乗せされて耳に届くと言うことがある。(ちょうど、水道管の様なパイプに向かって声を出すと、響きながらも遠くに届く、と言うのに似ている。)逆にそれだけ減衰しても、反射音や共鳴と言った音要素が組み合わさり、チャンと鑑賞、解釈、批評を可能にする音環境が提供されていることに改めて驚く。

ここ数回、Blogでスピーカと壁との距離といった話から、各部屋に合わせたルームチューニングをどう考えるべきか、と言う話をさせてもらった。で、30m離れた音でも立派に、いや、それ以上に、約3000名の座席一つひとつに音を届け、お客様からお金が取れるホールというのは、究極のルームチューニングを施さなければならない空間と言える。当然、音のいい席、それほどで無い席という違いはあるものの、最後部の座席に至っては、直接音は1/2000程度にまで減衰するだろう。それを反射音と共鳴で補完して、ホール音響は成り立つ・・・と、ここまで考えると、3000名の座席一つひとつに聞こえる別々の音の種類があるという考えが成り立つ。それらは、全て一つの音源から出されているにも関わらず、である。環境によって音が変化する。しかし、ウソの音というのでは無い。3000席のお客様それぞれにとっての「生音」なのだ。実際、コンサートホールだと、小さなトライアングルの音まで聞こえる。私のステレオは、最近まで、トライアングルの音を聴き分けられる代物では無かった。ルームチューニングの要諦は、「正しい音」「ウソの音」という範疇で考えられるべきで無く、この、出来るだけ数多くの音が明瞭に聴きわけられる環境作りにある、と、改めて考えた。 

スピーカーの置き方について(その2)

そんな時にこの本に出会った。

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作者は、真摯にアンプ開発を続けるメーカーの技術者・兼・社長さんである。技術に長けた中小メーカーの方らしく、今世間に流布しているオーディオの常識をことごとく疑ってかかり自分の耳だけを信じて検証してきた結果を本になさっている。曰く「本当に左右独立音源・モノラルアンプ2台の構成は音を良くするのか。」「同軸スピーカーはホントに定位がいいのか。高音が増強されてそういう印象になるだけでは無のいか。」「アース線はコンセントのアースに繋げるだけでホントにいいのか?」これらを一つひとつ自分の耳で確認し、持った印象を裏付ける自分なりの理論的分析を行い、読者に新しい視座を提供している。 ~ 根がミーハーな私には頭が下がる思い。 ~ で、やっぱりありました「スピーカーは壁から50cm離すのが正しいのか?」。

この本には、盛んに「部屋で聴く場合の反射音を意識しよう」という内容の記述がある。で、50cmの距離というのは、反射音的には150Hzというある種低音の一番おいしいところをスピーカーの直接音と反射音が打ち消し合う距離だそうな。ナルホド。 ~ このスタンスを援用すれば、ある一定の判断基準や、経済的環境、たまたまの気づきの積み重ねなどで、結果的に選択され自分の部屋にあるオーディオセットに、自分の耳を信じながら、愛しつつも疑いの目を向けながら、評価と改良を繰り返していくしかない。ましてや、オーディオ機器以上に、自分の部屋という環境は変えられないのだ。ここは、機器に合わせたベターな環境にルームチューニングしていくしか無い。

スピーカーをセッティングする際の壁との距離で音が変わるのは、当然、反射音による周波数ごとの増幅・減衰の総和として音が変わるからである。その意味で、50cmの距離である一定の音が弱くなるならば、それは音源に込められた音情報を正確に拾い出し再生している事にはならないだろう。正確な意味で「正しい音」を再生出来る「正しいセッティング」というのは数々・千差万別の録音環境の再現という意味において、理論的にはあり得ない。ただ、それを目指してこぼれる音が少しでも少なくなる様にしていくというのが、今できる精一杯の考え方かな。

スピーカーの置き方について。

中・高音域に定評のあるB&W・805だが、低音が少し物足りなく感じ始めた。今、LPラックを兼ねたステレオ台の左右には、作り付けの本棚がセットされており、おのずとスピーカーはその前に置かれるため、壁から離された状態になる。

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大体オーディオ本を読むと「スピーカーは壁から50cmくらい離せ。」と書いてある。これは壁からの反射音を避けるための措置だ。 ~ スピーカーが開発される環境というのは、当然、反射音が無い状態の部屋で性能が測定され、チューンナップが繰り返される。よって壁に近い状態で音を鳴らすと反射音で本来のスペックの音が出せない、というのがこの指導の根本にあるのだだと思う。でも、メーカーの研究室の様な環境で音楽鑑賞ができるユーザーはほぼいないだろう。で、実際に805を壁寄りに(本棚の上に載っけて)設置してみると、おぉ、多少ブーミーながらも低音が増強された。少し音が下品になった様なきもするが、チューンナップされた音のキレがローに付加され、筋肉質になった印象。

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どちらかというとこちらの音の方が好みではある。ただ、どちらが正しいセッティングなのか考えてしまった。

もともと、クロックチューンまでほどこすほどPCオーディオのシステムアップに注力してきた理由は、出来るだけ音源に含まれている音データを正確に取り出し、埋もれさせずに再生することにあった。それに関しては、運もあり比較的短期間にかなりの部分まで追い込めたと思っている。だが、セッティングで変わってしまう最終出力装置であるスピーカーの音を、その文脈のなかでどう評価すればいいのか?? 正しい音はどれなのか??