大河内 敦の裏blog

広告会社に勤める一級建築士のPC自作日記

スピーカーの置き方について(その2)

そんな時にこの本に出会った。

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作者は、真摯にアンプ開発を続けるメーカーの技術者・兼・社長さんである。技術に長けた中小メーカーの方らしく、今世間に流布しているオーディオの常識をことごとく疑ってかかり自分の耳だけを信じて検証してきた結果を本になさっている。曰く「本当に左右独立音源・モノラルアンプ2台の構成は音を良くするのか。」「同軸スピーカーはホントに定位がいいのか。高音が増強されてそういう印象になるだけでは無のいか。」「アース線はコンセントのアースに繋げるだけでホントにいいのか?」これらを一つひとつ自分の耳で確認し、持った印象を裏付ける自分なりの理論的分析を行い、読者に新しい視座を提供している。 ~ 根がミーハーな私には頭が下がる思い。 ~ で、やっぱりありました「スピーカーは壁から50cm離すのが正しいのか?」。

この本には、盛んに「部屋で聴く場合の反射音を意識しよう」という内容の記述がある。で、50cmの距離というのは、反射音的には150Hzというある種低音の一番おいしいところをスピーカーの直接音と反射音が打ち消し合う距離だそうな。ナルホド。 ~ このスタンスを援用すれば、ある一定の判断基準や、経済的環境、たまたまの気づきの積み重ねなどで、結果的に選択され自分の部屋にあるオーディオセットに、自分の耳を信じながら、愛しつつも疑いの目を向けながら、評価と改良を繰り返していくしかない。ましてや、オーディオ機器以上に、自分の部屋という環境は変えられないのだ。ここは、機器に合わせたベターな環境にルームチューニングしていくしか無い。

スピーカーをセッティングする際の壁との距離で音が変わるのは、当然、反射音による周波数ごとの増幅・減衰の総和として音が変わるからである。その意味で、50cmの距離である一定の音が弱くなるならば、それは音源に込められた音情報を正確に拾い出し再生している事にはならないだろう。正確な意味で「正しい音」を再生出来る「正しいセッティング」というのは数々・千差万別の録音環境の再現という意味において、理論的にはあり得ない。ただ、それを目指してこぼれる音が少しでも少なくなる様にしていくというのが、今できる精一杯の考え方かな。