初めての音出し。 ~今まで買ったオーディオセットは何だったのか。
めでたくセットアップ完成。
ついに、12年前のクロックチューン体験にケリをつけることが出来た。
あこがれのMARANTZアンプ。
スピーカーはMARANTZにベストマッチのB&W805、
それもグレータイガーズアイのシグネチャーモデルだ。
まず、ソニーCDレンズクリーナーに入っているデモ音源「しずく」を聴いてみる。 ~ 20年以上前の音源で、多分録音も初期のデジタルレコーディング環境でライブで録られたものなのか、ノイズがすごいのだが、音の定位やリアルさを聴くのにはいい素材だ。再生してみると、右に左に奥に手前にランダムにしたたる水滴の“ピチョン・・ピチョン・・・”という音が、澄んだ音色で聞こえてくる。音も定位もものすごくクリアな印象。これはすごい。もともと、B&W805はクリアな中高音に定評があるらしいが、クロックチューンが更にその音をクリアなものにしている。
次に、やはり、ドリの“すき”を聴いてみる。 ~ 出だしのピアノの澄んだ響きが丁寧に拾われた残響音とともに始まる。MUTECの音の「ホリ」の深さはそのままに、音にふくよかさが加わり、定位された音が伸びやかにキラキラした透明感でもって聴こえてくる。音も前に出た。信号の拾い方、再生の仕方が丁寧になったので、残響もハッキリと表現される分、空間的な拡がり奥行きも圧倒的。何より今まで気がつかなかった多くの音が聞こえてくる様になった。
雑誌 NetAudioのおまけのDSCデータのトリオジャズ ~ 音の定位が素晴らしいのは言うまでも無いが、ピアノとドラムとベースの配置の奥行きも(多分、残響再生が丁寧だから)、ちゃんとドラムが奥から聴こえる。何よりベースの弦をはじく指捌きがリアルに感じられる。すごい!
このあと、フル・オーケストラやコーラスもののポップス、フュージョン、ハードロック、J-pop、果てはテクノやデジタルサンプリングされたクラブミュージックまで聴いてみる。すべて、今まで聴き取れてなかった音が聴こえてきて聴き慣れたソフトも、飛びきり新鮮。すごい快感である。多くは、単にCDに記録された音源、それもSACDでも無いソフトをMP3でPCにリッピングしただけの音源である。楽器・歌声が自分を取り囲む。~ 名古屋のオーディオショップのご主人が「そもそもCDに入っている音データはそれだけで素晴らしいモノなのだ。それを素直に再生させてやればいい。」と、おっしゃっていたことを思い出す。 ~ 今まで買ったオーディオセットは何だったのか、思わせるインパクトである。(そんなに買ってないけど。)
あと、もう一つ気づいた事がある。長い音楽やアルバムもずっと聴いていたくなる、と言うことだ。
緻密な絵画を見るように、稠密に再生される音の粒子が私を飽きさせない。再生方法がアナログレコードの時代と比べて簡便になったため、フルアルパムを最初から最後まで聴くということがあまりなくななくなっていた様に思う。ネットでの楽曲購入も一般化し、一曲づつ購入できる様になり、CDアルバムもベスト盤は頻繁に発売される。カジュアルでつまみ食い的な聴きかたが一般化し、私も「もう、音楽は、ステレオの前にどっしり座って聴くモノじゃなくなった。」と思っていたのだが。~ “ハイ・ファイ”言葉を思い出した。