大河内 敦の裏blog

広告会社に勤める一級建築士のPC自作日記

真空管アンプ製作の話、の、その前に ~    タンノイオートグラフミニ。(その2)

梱包を開けて持ってみるとその軽さが意外だった。
一応、「タンノイ」である。あの重厚長大家具調スピーカーを今だに作り続けている「タンノイ」 ~ カタログに掲載されている商品ラインナップから、もっとズッシリと重いものをイメージしていた。

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自分が今まで愛用していたECLIPSEやB&Wと設計思想が違う、と、感じた。~ 考えるに、特にECLIPSEなんかは、卵形のデザインにすることによりボディの形状による音への影響(特にスピーカーボディ前面の反射音)を極力排除、ボディもサイズの割にはズッシリと重くし筐体の共振を抑え、コーン紙の振動のみにエネルギーを集中させる様に考えられている。コーン紙だけを前に飛びだたせた形状は、そんな思想を象徴している様だ。

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一方のタンノイは、あえて軽くすることで、ボディ全体を共振させ音に拡がりとパワーを与えようと言う。

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考えてみれば、彼らがスピーカーを作り始めたのは真空管の時代。20ワット前後の出力でも映画館で音を行き渡らせるPAが求められていたわけで、出力の小さいアンプから出された音声信号をスピーカー側でボディを共振させ増幅させる必要があった。今だに家具調といっていいほど大きなサイズのスピーカーを作り続けているのも、その設計コンセプトに忠実であるが故と考えられる。ギターだって、ボディの木が年を経て乾いて軽くなったものがふくよかで大きな音を響かせる。ちょうどB&W、ECLIPSEは、ソリッドなエレキギターで、ハードなボディでピックアップを固定して音を拾うみたいなキレのあるシャープな音像を目指しているのに対して、このタンノイは、軽いホローボディでボディ全体を響かせるアコースティックギターの様だ。そういう風に考えると、このスピーカー、木が無くなったから発売中止というのもうなずける。
で、なんか、そう言うと残響の多いハッキリしない音がしそうだが、ちょっとマランツに繋いでにならしてみると、驚くほど追随スピードがありクリアな音を響かせた。これは裏切られた! ~ もちろんいい意味で。

期待できる。このスピーカーを真空管で鳴らしてみたい。・・・そう思ったのが今回の真空管アンプを製作してみようと思い立った直接的なきっかけでした。